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趣味(2018年2月の記事)

作品を作る者としてアートに携わる、という私自身が一番熱中できることを生業にしようとしていて、純粋に楽しむことを目的にした趣味が自分にはないのではないかとうっすら気が付いている。

本を読むのは好きだけれど、もの凄い遅読で読んだことのほとんどをすぐ忘れてしまう。紙に印刷された文字とか、開かれた本のページとかそういう言語の空間もとても好きで、言葉にも少しだけこだわりがあるけれど、読書が趣味だとは恐れ多くてとても言えない。映画も好きで学生時代はいろいろ見ていたけれど、映画好きな人たちと話ができるほどマニアックでもなく、このところの忙しさにゆっくり映画を見ることも少なくなった。

旅行も大好きで、学生時代はトルコを皮切りに留学も含めて、フランス、ベルギー、ドイツ、イタリア、ギリシャ、イギリス、フィンランド、台湾などを訪れた。どれも素晴らしい大切な思い出だけれど、世界何十カ国を死にそうになりながらバックパックで行って来ましたという人の前では、私の旅行なんてほんの物見遊山でしかないような気もするし。(トルコに再び行ける日を夢見ている。国内もまだまだ訪れていないところは沢山あって行ってみたい。)

どうやら私はマニアックに何かに集中する人間ではないようだ。

そんなことを考えながら暫く過ごしていたら、これはもしかしたら趣味と言えるのではないかというふたつのことに思い当たった。

ひとつは古物漁り。アンティークというような高級なものではなく、中古品店やがらくた市、条例が改正される前は、粗大ごみなど、何か面白いものがないかなーと眺めるのが好きだった。これは半分は作品のアイデアやモチーフを探しているということもある。アーティストのなかにはこういう人、多いかもしれない。

もう一つは文通。この趣味は片手の指で数えられるほどの精鋭ペンフレンドたち(リアル世界でも良き友人)によって支えられている。季節や相手の好みを考えながら切手や便箋を選び、さほど重要でもない近況を綴るのは楽しい。この趣味で大事なことは、相手も手紙が好きで、文章を書くことが苦にならない人であるということ。文通相手が選んでくれる切手や便箋の取り合わせに毎回「さすが、○○ちゃん!センスいいなあ。」とか「こんな素敵な便箋どこで手に入れるんだろう。」とか「この切手、かわいくて私も買いました。気が合いますね」などと思いながら相手がつづってくれた内容を読み返して、相手の近況を想う。手紙を書くのは時間とエネルギーが要るので、心と時間に余裕がある時にしかできないが、友人から不定期に届く便りを受け取るのは幸せな時間だ。

もう少し、自分の趣味の幅を広げてマニアックな人間になってみようかなーと思うこの頃だけれど、今年は展覧会で忙しくなりそうで、開拓する時間があまりなさそうだ。こんな人間なので、お誘いくだされば意外と他の人の趣味にも便乗して楽しむことのできるタイプだと思います。

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