強い存在感と脆さを同時にあわせもつ焼き物は、わたし(あるいは他者)が確かに「在る」という実存的な感覚と非常によく共鳴すると直感的に思う。

 

現在取り組んでいる一連の作品は、焼き物の素材やプロセスに対する考察から、焼き物を「記憶メディア」として捉え、中古の衣類や日用品を観察し、かつての持ち主たちの気配、現代に生きる人々の生の痕跡を焼き物に記憶させるというシリーズである。粘土の豊かな可塑性を利用し、中古の衣類の皺などを観察し柔らかい粘土に彫り込んでいく。柔らかな粘土は焼成という過程を経ることで固く変質し、与えられたイメージを頑ななまでに維持する、すなわち「記憶する」性質を備えている。確かにそれらの衣類を身に纏っていたであろう人々の存在と私の時間が混ざり合っていく感覚。焼き物によって象られた日用品は、私たち自身の存在と共鳴しながら、個としての絶対的な孤独や哀歓を抱えた現代に生きる人々の姿を映しだす、人間の想像力のための記憶メディアとなる。