きのふいらつしつてください

新型コロナウィルス禍による世界の混乱をよそに、自然の木々は新緑の美しい季節を迎えています。

全国の緊急事態宣言解除の後も、九州での感染拡大など、各地みなさま様々な思いでお過ごしのことと存じます。私の暮らす石川県では緊急事態宣言が5月15日より解除され、一年前より作品の準備を進めてきた展覧会「きのういらつしつてください」が開催される運びとなりました。

この展覧会は金沢の、ことのは不動産による「編む 空家改修再販プロジェクト」の中で、彗星倶楽部の中森あかねさんの企画により開催されます。金沢では年間に100軒以上の町家が取り壊されている現状があります。「編む」プロジェクトは、町の記憶や時間を感じさせる魅力ある町家や空家を、建物の個性や以前の使い手の思いを読み解きながら地元の工務店と協働により、未来の使い手に繋げるという、大胆でそのアイデアに非常に共感する魅力的なプロジェクトです。その第一弾として金沢市横山町にある昭和2年築の金澤町家の改修が行われており、中森さんの声かけによりプロジェクトの意図に賛同した作家8名と前居住者で和洋裁や日本画に親しんだ故山下千代子氏による作品も合わせて、展覧会が行われます。

今回発表する作品「間(あわい)について-YAMASHITA chiyoko-」は、山下千代子さんが長く住まわれた町家と遺品の整理に関わらせてもらい、和洋裁が得意であった山下さんの手作りや既成の衣類、浴衣や着物、古い洋裁生地を譲り受けたことから制作がはじまりました。

改修前に入らせていただいたこの町家は玄関に町家らしい佇まいを残していて、山下さんの愛したであろう数々の物で溢れかえっていました。お料理のメモ、小磯良平の絵画のコピー、和洋裁の生地や洋服、着物、枯れない花々・・・物のない戦争中に若い時を過ごした女性が、戦後の貧しさを経て訪れた豊かな時代を謳歌していた様子が伝わってきました。山下千代子さんの、この身の回りの品々が当時の時間をそのままに何十年ものあいだ静かに佇んでいた、その空間は何とも言えない不思議なものでした。

このような意欲的なプロジェクトに参加させていただけることをとても嬉しく、開催をとても楽しみにしてきました。新型コロナウィルスの感染拡大で、まだまだ外出の難しい時ですが、お近くの方がいらっしゃいましたら、ご予約のうえお越しいただけましたら幸いです。インスタグラムでも展覧会の様子をアップできればと思いますので、こちらもぜひご覧ください。

町家の改修前の様子や改修後の様子などをことのは不動産さんのインスタグラム( amu.ie )でご覧いただけます。

主催・ことのは不動産、彗星倶楽部

フライヤー挿画・山下千代子

フライヤーデザイン・北口加奈子

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