青む膚

金沢で3週間にわったて開催いたしました個展「青む膚」無事に終了いたしました。

会場にお越しくださったみなさまありがとうございました。展覧会のステートメントをこちらにアップいたします。

焼き物について原初的な像を想うとき、土(粘土)は人間が手の中から、世界に関わる何らかのかたちを生み出そうとする時の、非常に根源的な素材のひとつなのではないかと思う。

さらに「焼き物」になると、高温で焼かれることで粘土の組成に化学変化が起こり、粉々に割れて再び砂粒になるまでは、与えられたかたちを半永久的に留め続けることになる。柔らかい粘土が徐々に水分を失って固くなり、高温の熱の中で溶け、冷えて再び固まる。私はこのような焼き物のプロセスや素材の特性に触れるうちに、焼き物には与えられた形を留める「記憶メディア」のような性質があると考えるようになった。

ざらざらとした土のはだやひび割れといった焼き物の生々しい表情には、触覚など私たちの身体感覚を呼び覚ましてくれるような強い存在感がある。空気をはらんで刻々と変化していってしまう布でできた、持ち主たちの生の痕跡を宿した衣服を手作業で粘土に刻むことで、持ち主たちの記憶とともに、形づくる際に生じる手のくせといった私自身の身体性や時間も同時に編み込んでいくような感覚がある。このような自覚と意識から出来上がったイメージは、人の手で作られるからこそ混ざり込んでしまう様々なものを含みながら、単なる模刻とは質を異にする濃密なものを立ちのぼらせることができると考えている。

あふれる情報に日々翻弄され、自分自身の存在が希薄にさえ感じられる現代において、私たちの存在の核となる微かな感覚を、手ざわりのある確かなものへ定着させたいという、無意識の欲求が私自身の中にあるにちがいないことに、最近改めて気がついた。

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