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往還する花花  




 個展の開催が来月に迫ってきました。7月下旬にメインとなる作品の焼成に失敗し、急遽作品を新たに制作することになり、間に合うかどうか不安なスケジュールでしたが、ギリギリの中でも順調に進むという不思議な感じを体験しています。今は展覧会に向けて、毎日着々と残りの仕事を進めています。


フライヤーも各地の美術館や関係先に発送し、早速アーティストの友人や知り合いの方々から「見に行く」と声を掛けていただき、とても嬉しいです。追加で制作した作品は9月末に焼成があり、まだ完成していない作品もあるので、最後まで気を引き締めて準備していきたいと思います。



人間が引き起こした環境問題への関心が高まり、これまでの人間中心的な世界のあり方が顧みられています。そのような人間中心主義的な視野から視点や思考をずらすために「植物」という他者の存在が一役買っていると感じています。植物が存在しなければ地球上の生き物は生きてゆけないということはもちろん、生活のありとあらゆる面で、植物との関わりは実に多様な形で存在しています。私個人は植物愛好家とは程遠く、鉢植え一つ満足に世話できない不精な人間なのですが、それでも植物が気になるのです。


今回の個展に向けて、私なりの植物との関わり方をかたちにできないかと考えてみると、作品の中で間接的に長らく植物と関わってきたことに気が付きました。私は10年以上前から、誰かが身に着けた衣服を粘土に刻むという作品を作っていますが、その衣服にはしばしば植物を象った刺繍やレースが施されているのです。また衣服自体をかたちづくる布の歴史への興味も私の想像力を支えていて、その布の染織と植物は切り離すことができない、むしろ同義にも近いような密接な関係があります。このようなことで、今回の個展では衣服の上に現れる「植物 (花)」を切り口に制作、構成しています。


会場となるhisocaのオーナーである勘村さんは植物をとても大事に育てておらる方で、山野草の盆栽をお作りになる方なのですが、植物とともに暮らす空間やお人柄から多くのインスピレーションをいただきました。


また今回の個展では、2018年から展覧会ごとに細々と継続、更新している古着を脱色するシリーズ作品の新作も展示します。2018年にギャラリー無量で発表した「間(あわい)について」、そして2019年の町家改装の「編むプロジェクト/ことのは不動産」の中で行われた展覧会「きのふいらつしつてください」(展覧会企画・彗星倶楽部)で発表した「間(あわい)について Chiyoko YAMASHITA」以来の作品です。布と相対する時間は、粘土や焼き物の時間とはまた違ったリズムがあり、異なる難しさもあります。


一見デザインが映えるような安価が衣服が大量に生産・消費される現代において、動植物から繊維を取り出し、糸を拠り、動植物からとれる染料で糸を染め、織るという膨大なプロセスを経て布が作られていたことは、はるか遠くの夢の物語のようです。そのような自然の恩恵と膨大な労働によって作られる「布」への敬意を込めた、布を作ることができない私の布の表現です。


ご高覧いただけましたら嬉しいです。










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